先週末、私はブカレストで開催されたWARO (Watching Romania)の会場を歩いていました。多くの時計愛好家の集まりと同じように、会場には伝統的なダイヤル、磨き上げられたスチールケース、見慣れたシルエットが並んでいました。けれども、クラシックなデザインがひしめく中で、ひとつのブースにすぐ目を引かれました。AndoAndoAndoです。
まだご存じない方のために紹介すると、AndoAndoAndoは、遊び心と創造性がはっきりと感じられる腕時計をデザインするマイクロブランドです。伝統的な仕上げで老舗ブランドと競おうとはせず、その代わりに、個性や持ち味を素直に手首へ届けてくれる時計を作っています。
Vinylのデザインに心を奪われて
ラインナップの中でもひときわ目を引くのが、Vinyl Recordウォッチです。ヴィンテージのレコードプレーヤーから着想を得たデザインは、音楽文化を時計へと落とし込む巧みさを、さりげなく伝えてくれます。
ダイヤルはLPレコードの溝を再現し、レコードプレーヤーのトーンアームの形をほのかに思わせる要素も取り入れています。奇をてらった感じがなく、気の利いた発想だと感じます。コンセプトを軸にした腕時計では、なかなか見られないバランスです。
決め手になったのは、ブラックとゴールドのバージョンを自分の手首に着けた瞬間でした。具体的には、Charlotte de Carle x Ando “Music is the Answer” Limited Editionです。
英国のDJ兼プレゼンター、Charlotte de Carleとのコラボレーションから生まれたこの時計は、深い黒に溝が刻まれたダイヤル、24金のPVDコーティングを施したケース、マットなゴールドのトーンアーム形の針のコントラストが、洗練されたレトロな雰囲気を生んでいます。光の受け止め方も、派手というより自然に感じられます。
ストラップを留めた途端、すっかり恋に落ちてしまいました。気負わない自然体の雰囲気と独自性があり、同時に自分だけの特別なものとも感じられるのです。
デジタルの一面:LUCKYSHROOM x ANDO
Vinylウォッチに心を奪われた一方で、彼らのテーブルでもうひとつ目を引いたのが、LUCKYSHROOM x ANDOのコラボレーションでした。
こちらはデジタル腕時計ですが、ごく普通のものとはまるで違います。Andoのインダストリアルデザインの表現と、LUCKYSHROOMならではの美意識を組み合わせた、美しく仕上げられた時計です。すっきりとしたレトロフューチャーの雰囲気をデジタル腕時計の世界に持ち込み、懐かしさと現代性を同時に感じさせてくれます。実物を見て、まったく異なるカテゴリーの時計に挑戦したときの、このブランドの引き出しの多さを実感しました。
時計の外にも息づく心配り
目を引いたのは時計そのものだけでなく、展示全体に行き届いた細部への心配りでした。
マイクロブランドではパッケージが後回しにされがちですが、AndoAndoAndoは違うアプローチを取っています。汎用的な時計ボックスに頼らず、すっきりとしたグラフィックデザインと専用のアートワークを使った、ミニマルなパッケージで時計を見せています。明快なタイポグラフィから、ストラップや裏ぶたのさりげないデザインまで、どの要素にも意図が感じられます。作り手が大切にしているのは、単に既製の箱に商品を入れて届けることではなく、デザインを体験することの全体なのだと伝わってきます。
最後に
WAROには印象的な時計が数多く並んでいましたが、会場を後にするときも、Vinyl Recordウォッチの”Music is the Answer”は頭から離れない時計のひとつでした。
既存モデルへのオマージュや無難な選択があふれる世界で、AndoAndoAndoは本当に新鮮なものを提案しています。気取らず、自分を大げさに見せようとしないデザインなのに、欲しいところにしっかりと個性を届けてくれるのです。
公式サイト: AndoAndoAndo · Instagram: @andoandoando_design
公式サイト: LUCKYSHROOM · Instagram: @luckyshroom
Charlotte de Carle · Instagram: @charlottedecarle
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